アントレプレナーシップ研修 in ハノイ(ベトナム)

ベトナム研修

発展が著しいベトナムの首都ハノイを訪れ、ハノイ大学の学生とともにベトナムの歴史、文化、経済についてディスカッションを行い、ハロン湾やチャン・アンなどの世界遺産を巡りながら学びを深めます。
本研修旅行では、「アントレプレナーシップ(起業家精神)」も重要なテーマの一つです。現地企業を訪問し、起業に至った経緯や商品の開発プロセスについて学びます。また、実際に現地で商品を買い付け、帰国後に地域の方や保護者の方々に販売する実践的な活動も行います。
令和6年度は、中学1年生と2年生の計7名がこの研修に参加しました。

事前研修①活動資金の調達

2月に大崎上島で開催されたお祭りに出展し、ベトナム料理を販売しました。地域の方から地元の食材を購入し、販売するフォーを何度も試作しました。
本活動では「ベトナム研修旅行での買付資金を生み出すこと」「ベトナムの文化を地域の方に伝えること」という2つの目的を達成することができました。

事前研修②企業訪問

世界を舞台に活躍する広島の企業、マルニ木工を訪れました。デザインへのこだわりやプロダクトに対する深い愛情と誇り、日々の小さな変化への気づき。そして、職人の方々が一つ一つの工程に心を込め、細部まで丁寧に仕上げる姿から、ものづくりの奥深さと情熱を強く感じました。この経験を通じて、アントレプレナーシップの本質について大切な学びを得ることができました。

ハノイ大学生との協働プロジェクト

日本語や英語を交えながら、日本とベトナム、それぞれの地域の歴史、文化、経済についてディスカッションを行いました。その中で、発展が著しいベトナムが抱える社会課題についても考える機会を得ました。
ディスカッションの後は、ハノイ大学の学生とともにベトナムの郷土料理を作り、食文化を体験しました。現地の食材や調理方法に触れながら、文化の違いを肌で感じる貴重な時間となりました。

ハロン湾やチャン・アン等の観光

ベトナムを代表する世界遺産のハロン湾やチャン・アンを巡りました。
鍾乳洞探検やカヤック体験など、ハノイ大学生に説明していただきながら観光しました。

ハノイの企業との連携

ソーシャルエンタープライズ(社会的企業)であるToheや、環境・社会・経済のバランスを考えたサステナブルなモデルを実践するPizza 4P’sを訪問しました。日本とは異なる環境で起業することの難しさや魅力について、お話を伺いました。

Social Goodな商品の買付

本研修旅行のテーマである「アントレプレナーシップ」の語源、「アントレ=〜の間に」「プレナー=受取人」に立ち返り、仲買人や貿易商の役割を体験しました。ハノイで生産されているSocial Goodな商品をリサーチし、生産者や起業家の想いを学んだ上で、実際に交渉(対話)を行い商品を買い付けました。日本に持ち帰った商品は、地域の方や保護者の方々に、その背景やストーリーを伝えながら販売します。「売り手よし、買い手よし、世間(社会)よし」の三方よしの実現を目指します。

参加生徒の振り返り

ハノイ大学の授業では、ベトナムの人口や政治の基礎知識だけでなく、どのような歴史が今のベトナムを形づくっているのかを、詳しく教えていただきました。授業を受け、街を歩いてベトナムの人々を見ていると「自分たちがベトナムを変えていくんだ」という強い意志を持っていることに気づきました。
日本に帰ってきて「世の中を変えていかなければならない」という雰囲気がベトナムと比べて薄かったように感じました。ベトナムの経済や歴史について学び、街を歩いた体験は、私にとって大きな気づきをもたらしてくれたと思います。
このプログラムを通して、自分の強みと弱みにも気づきました。私の強みは、少しではあるけれど責任感を持っていることです。授業を通して、日本の未来のために何かをしたいと思えたからです。一方で、足りないと感じたのは積極性です。特にディスカッションでは、自分の消極的な姿勢を痛感しました。仲間は、言葉や年齢の壁を越えて、どんどん相手に質問し、考えを深めていました。それに比べて、私はあまり積極的に話しかけることができませんでした。
また、自分の視野の狭さにも気づきました。叡智学園に入学して一年、私は「世界に目を向けること」を意識してきたつもりでした。しかし、ハノイ大学の学生たちは、私の何倍も世界の現状を理解し、それを「自分ごと」として捉えていました。私はまだまだ世界を知ろうとする努力が足りていなかったのだと痛感しました。
だからこそ、これからは「世界に目を向けること」だけでなく、「その現状に向き合うこと」を大切にしたいと思います。そして、もっと積極的に行動し、「自分から動くこと」を当たり前にできるように頑張っていきます。

心に残ったのはPizza 4P’sでの体験です。ピザ作りをする際、池内さんが「残った食材は廃棄することになるので、なるべく使い切ってください。」とおっしゃっていました。この言葉には、食材を作っている農家の方々への想いと、ゼロウェイストを目標にする企業としての理念が感じられてました。
また、チャン・アンやハロン湾の美しい景色を眺めているときに、私は「Well-being」を感じました。普段の生活では味わえないような海外の環境が、心の豊かさにつながるのだと実感しました。
このプログラムを通して、自分には「柔軟性」という強みがあるのではないかと考えました。異なる言語や文化、環境の中でも健康に過ごすことができたし、ハノイ大学の学生たちとも円滑にコミュニケーションをとることができました。言語の壁を乗り越え、工夫しながら関わることができたことは、自分の強みの一つだと思います。
また、ベトナムに行くことで、日本とは異なる常識や価値観、文化があることを改めて知りました。その一つ一つの気づきにも意味があると感じたので、これからは小さな気づきを大切にしながら、自分の進路や興味のあることを見つけていきたいです。
そして、この研修旅行を通じて、やはり私が力を入れたいことは「英語」だと再確認しました。ベトナムでは日本語が少し通じる場面もありましたが、それでも英語が思うように伝わらなかったり、発音の違いでうまく理解してもらえなかったりしました。この経験を生かし、これからもっと英語を学び、実践できる力をつけていきたいです。