
国際バカロレアとは
国際バカロレアとは,国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラムのことです。
国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)は,1968年,チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして,世界の複雑さを理解して,そのことに対処できる生徒を育成し,生徒に対し,未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに,国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え,大学進学へのルートを確保することを目的として設置されました。
現在,認定校に対する共通カリキュラムの作成や,世界共通の国際バカロレア試験,国際バカロレア資格の授与等を実施しています。
(文部科学省IB教育推進コンソーシアム「IBとは」より)
国際バカロレアについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
IB World School(国際バカロレア認定校)とは
IB World School(国際バカロレア認定校)とは,国際バカロレア機構から,国際バカロレアを実施する環境・体制等が整っていると認定された学校のことです。
本校は,令和2年(2020年)10月に国際バカロレア・中等教育プログラム(IB・MYP)の認定校となり,世界のIB World Schoolに仲間入りしました。
また,令和3年5月に国際バカロレア・ディプロマプログラム(IB・DP)の認定校となりました。
入学時の中学1年生から卒業する高校3年生までの間に,在籍する全ての生徒が一貫したIBの教育プログラム(MYPとDP)を履修するのは,日本の公立学校で初めてです。
国際バカロレア機構のホームページ上の本校紹介ページはこちらをご覧ください。
中等教育プログラム(MYP)とは
中等教育プログラム(MYP:Middle Years Programme)は,11歳~16歳までを対象としており,青少年に,これまでの学習と社会のつながりを学ばせるプログラムです。
本校では,中学校第1学年から高校第1学年冬までの期間に,本プログラムに取り組みます。
中等教育プログラムでは,8教科(言語と文学,言語の習得,個人と社会,理科,数学,芸術,保健体育,デザイン)を学習します。
8教科は従来の教科を越えた「相互作用のエリア(AOI:Areas Of Interaction)」である5分野(学習の方法(Approaches To Learning),コミュニティーと奉仕活動,人間の創造性,多様な環境,保健教育と社会性の教育)と関連しており,人間の共通性に焦点を当てています。
この「相互作用のエリア」は,全教科に共通して適用され,生徒が,各教科を他の教科や実社会とは関連性のないものとして孤立的に捉えるのではなく,教科内容と実社会との関連性に対して認識を高められるよう働きかけることを目的としています。
これらを通じて,MYPでは,知識を統合された総体的なものとして示し,生徒がより広く,より複雑なグローバルな課題に対する認識を高めることが期待されています。
(文部科学省IB教育推進コンソーシアム「MYP(ミドル・イヤーズ・プログラム)」より)
ディプロマプログラム(DP)とは
ディプロマプログラム(DP:Diploma Programme)は16歳~19歳までを対象としており,所定のカリキュラムを2年間履修し,最終試験(11月実施)を経て所定の成績を収めると,国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)が取得可能なプログラムです。「日本語DP」の対象科目等を除き,英語,フランス語又はスペイン語で実施されます。
DPのカリキュラムは,6つのグループ(教科)及び「コア」と呼ばれる3つの必修要件から構成されています。
生徒は,6つのグループから各教科ずつ選択し,6科目を2年間で学習します。ただし,「芸術」(グループ6)は他のグループからの科目に代えることも可能となっています。また,大学やその後の職業において必要となる専門分野の知識やスキルを,大学入学前の段階で準備しておく観点から,6科目のうち,3~4科目を上級レベル<HL(Higher Level),各240時間>,その他を標準レベル<SL(Standerd Level),各150時間>として学習します。
国際バカロレア資格は,国際的に通用する大学入学資格として,国ごとに具体的な取扱いは異なるものの,世界の多くの国々の大学において,大学入学資格として幅広く受け入れられています。
海外の大学入学者選抜に当たっては,国際バカロレアのスコアが広く活用されています。例えば,英国の大学では,中央機関(UCAS)が国際バカロレアや英国の共通試験であるAレベル等のスコアの統一的な換算表を作成し,各大学が国際バカロレアのスコアを入学オファー等を行う際の目安として活用しています。
なお,海外の大学においては,例えば国際バカロレアの上級レベル科目(HL)において一定の得点を取得した生徒に対して,当該科目に相当する一部科目について,入学後の履修免除(単位認定)等の特典を付与するケースも多く見られます。
(文部科学省IB教育推進コンソーシアム「DP(ディプロマ・プログラム)」及び「IBを活用した入試制度」より)

言語と文学(国語科)
言語と文学の授業では,生徒が身近に感じることのできるような内容や探究的なテーマを取り上げ,教科書に収録されている教材とも関連付けて扱います。生徒が相互に意見を出しあったり,検討しあったりするような学習活動を中心に授業を行っています。
このような学習活動を通して,生徒たちは,「唯一の正解」のない問いの方が実は普通であるということに気付くとともに,多様性やその価値を尊重できる感性を養っていきます。

個人と社会(社会科)
個人と社会の授業では,個人やペア,グループワークなど様々な形態で探究活動を行い,思考を深めたり,物事を多面的・多角的に捉えたりすることができるようにしています。また,各単元の終わりには,探究した内容を活用し,レポートや動画,ポスター,リーフレットなど多様な総括的評価課題に取り組んでいきます。
例えば,地理的分野では,留学生の受け入れを踏まえて世界各国の衣食住などをまとめるリーフレットを作成し,異文化理解を深める学習活動を行っています。

数学
みなさんは身の回りにある数学に興味をもった経験はありますか?
例えば,実生活の中で関数がどのように活用されているか考えたことはありますか? また,身の回りの実在物の中で,合同な図形や相似な図形を発見するような経験をしたことはありますか?
数学は世界というものを理解するための有効な手段であり,数学を用いることでさまざまな現象を正確に描写することができます。本校での数学の学びは,そんな実生活と数学との関連,経験的な学びを軸とした授業を展開しています。
そして,数学は強力な世界共通言語として存在し,国を越え,文化を越えたコミュニケーションの手段として活用することができます。数学を学ぶことで,分析的な推論のスキル,問題解決スキルを身につけ,論理的で抽象的な思考スキルを身につけていきましょう。

理科
大崎上島の自然豊かな環境を最大限に活かし,採集した生物を分類したり,大串海岸の露頭の観察をしたりするなど,教室で学んだことを身近な自然の中で活用する学びを重視しています。
また,自分が設定した問いを検証するために,「仮設設定→実験計画→実験データの処理→結果の考察→仮設や方法の評価・改善」といった科学的なプロセスを大切にしながら,学習活動を進めています。

芸術(音楽)
音楽の授業では,取り扱うトピックについて多角的に学習をします。例えば,2年生では「和音」を取り扱いますが,和音の役割や仕組みを理解しつつ,曲を演奏したり,得た知識や技能を使って自分で思考・判断しながら作曲をしたりします。
そのように学習することで,断片的になりがちな知識,技能,思考判断が相互的,複合的に作用し,生徒が主体的に音楽への造詣を深めることができるようになります。

芸術(美術)
美術の授業では,発見や探究,活動の楽しさを味わうことを重視しています。
また,作品制作中は制作過程をプロセスジャーナルに記録し,視覚的な表現だけではなく,言語での創造的な思考ができるようにアプローチしています。

保健体育
保健体育科の授業では,与えられたタスク(課題)の達成に向けて仲間と協働し,その成功を共に喜べる関係づくりを大切にしています。
体育の授業では,生涯にわたって心身の健康を保持増進し,豊かな人生を送ることができるための基盤づくりを目指し,各種の運動の特性に応じた基本的な技能を身につけられるよう個に応じた指導と集団の高まりを味わえる授業を進めています。
また,保健の授業では,リサーチの過程を大切にして,生徒が健康について様々な側面を探究できる工夫をしています。

デザイン(技術)
中学校技術・家庭科(技術分野)ではMYPデザインサイクルを用いながら学習を行っています。
1年生では,主にネットワークを用いた課題解決として,身近な課題やSDGsに関する課題を発見し,Webデザイン制作に取り組みます。2年生では,主に廃材を用いた木工製品を,生徒や職員の要望に応じながら設計・制作し,学校に寄贈します。3年生では,寮生活における困り感を改善できるようなシステムをデザインするとともに,制作した模型をmicro:bitを用いて計測制御し,解決方法を創造します。
このように,生徒自らが課題となるものを発見し,デザインアイデアを考え,実施し,評価するという活動を行なっています。

デザイン(家庭)
中学校の技術・家庭科(家庭分野)では,1年生で衣生活,2年生で食生活,3年生では住生活について,技術分野と協働設計をしながら授業を行っています。
衣生活の学習では,布を活用して解決できる家庭生活の問題点を分析し,家族の要望を踏まえたデザインを考案します。ペット用ベッドや旅行用リュックサックなど家族の要望に応えるために製作した作品は一人一人異なるため,毎年,出来上がる作品が楽しみです。
食生活の学習では,ターゲットである先生の健康を考えたお弁当をグループごとに製作します。先生の1週間の食事内容を調査・分析し,不足している栄養素(問題点)を見つけ出します。そして,ターゲットの先生が本来昼食に必要な栄養素の量やエネルギー量に近づけるように栄養計算するだけでなく,先生の嗜好や要望も満たすことのできるお弁当をデザインします。試行錯誤を重ねて製作したお弁当を食べた先生からは毎年,「感動した」「美味しかった」という多くのフィードバックをもらっています。
このような探究的な学びを通して,生徒は,実生活に活きるスキルや生活に関する課題を解決する能力を身に付けていきます。

言語の習得(英語科)
英語学習の目的は,世界中のどこにおいても,どのような相手に対してでも,相手をより深く理解することができ,また自信を持って自分を表現でき,互いにより建設的なアイデアを築き上げられる,国際的なマインドを持った人になることです。
生徒は,まず初めに物語文を通して,語彙や文構造などを学びます。その後,説明文やメディアリテラシーを学び,高校においては,ほとんど全ての学術的な書式やジャンルに対応できる英語力を身につけます。その際,実社会で使用されている英文等から様々な教材を用い,社会につながる学びへと発展していきます。
また,生徒の能力に合わせたインプットとアウトプットの繰り返しを重視した授業を行っており,特にライティングに関しては,非常に高いレベルの英語力を身につけるよう力を入れています。